賃貸物件を退去したら敷金がほとんど返ってこない、あるいは追加請求まで…。「きれいに使ったのに」と疑問を感じながらも、どこに相談すればいいのかわからず泣き寝入りしてしまう方は少なくありません。
実は、敷金返還トラブルは年間1万件以上発生しています。しかし国土交通省のガイドラインでは、経年劣化や通常使用による損耗は貸主負担と明確に定められています。約7割の人は何らかの返還を受けているものの、全額返還はわずか12%。正しい知識があれば取り戻せる敷金が、知らないために失われているのです。
この記事では、契約書の確認ポイント、管理会社との交渉、消費生活センターへの相談、少額訴訟まで、段階的な対処法を6つのステップで解説します。読み終える頃には、不当な請求への対処法が明確になり、正当な権利を主張する自信と知識が身につきます。
敷金は預かり金であり、適切に使用していれば返還されるべきお金です。泣き寝入りする必要はありません。
敷金が返ってこない主な理由
敷金の基本的な仕組み
敷金とは、賃貸借契約を結ぶ際に借主が貸主に預けるお金のことです。「支払う」のではなく「預ける」という点が重要で、退去時に原則として返還される性質を持っています。
敷金の主な役割:
- 退去時の原状回復費用の担保
- 家賃滞納時の補填
- その他の債務不履行への備え
退去時に原状回復費用や未払い家賃があれば、それらを敷金から差し引き、残った金額は借主に返還されるのが原則です。
敷金返還の実態|どのくらいの人が返ってこないのか
リクルート住宅総研の調査によると、東京都の賃貸物件入居者のうち、敷金が返還された人の割合は以下の通りです。
敷金返還の実態:
- 何らかの返還を受けた人:約69%
- 全額返還された人:わずか12%
- まったく返還されなかった人:約31%
つまり、約7割の人は何らかの返還を受けているものの、全額返還はかなり少ないのが実情です。ただし、これは「返ってこないのが普通」という意味ではありません。適切に使用していれば、原則として返還されるべきものなのです。
敷金の返還時期は、退去後1~2ヶ月以内が一般的です。契約書に明記されている場合はその期限に従いますが、明記がない場合でも通常は2ヶ月以内には返還されます。
敷金が返ってこない具体的な理由
敷金が返還されない、または減額される主な理由は以下の通りです。
💰 原状回復費用が高額 借主の故意・過失による損傷の修繕費用が敷金を超えている場合、返還額はゼロになり、場合によっては追加請求されることもあります。
📝 ハウスクリーニング特約がある 契約書に「退去時のハウスクリーニング費用は借主負担」という特約があり、その費用が敷金から差し引かれるケースです。
🔻 敷金償却(敷引)特約がある 関西地方などで多く見られる「敷金のうち○ヶ月分は償却する」という特約があり、無条件で一定額が返還されない契約です。
💳 家賃滞納がある 未払いの家賃や共益費がある場合、それらが敷金から差し引かれます。
❓ 契約内容の誤解 国土交通省のガイドラインと契約書の内容を正しく理解していないため、本来返還されるべき敷金を請求できていないケースです。
原状回復の正しい理解|国土交通省ガイドラインの基準
原状回復とは何か
多くの人が誤解していますが、原状回復とは「入居時の新品同様の状態に戻す」ことではありません。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復を以下のように定義しています。
賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること
つまり、通常の生活で発生する劣化(経年劣化)や、普通に使っていても発生する損耗(通常損耗)は、借主が負担する必要はないということです。
借主が負担すべき原状回復費用
以下のような損傷は、借主の負担となります。
| 損傷の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 故意・過失による損傷 | 壁に開けた釘穴(下地ボードまで達するもの)、タバコのヤニ・焦げ跡、ペットによる柱の傷 |
| 清掃・手入れ不足 | 台所の油汚れ(換気扇含む)、浴室のカビ・水垢、結露を放置したことによるカビ |
| 通常使用を超える使用 | 重量物を壁に取り付けた跡、引っ越し作業で付けた傷、鍵の紛失 |
これらの損傷については、借主が修繕費用を負担する必要があります。ただし、損傷した部分のみの修繕費用が原則で、例えば壁の一部に傷を付けた場合でも、部屋全体のクロス張り替え費用を全額負担する必要はありません。
貸主が負担すべき原状回復費用
一方、以下のような損耗は貸主の負担となります。
| 損耗の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 経年劣化 | 日焼けによるクロスの変色、畳の変色、フローリングの色褪せ |
| 通常損耗 | 家具の設置跡、画鋲・ピンの穴(下地ボードに達しない程度)、エアコン設置による壁の穴(貸主の承諾を得ている場合) |
| 次の入居者確保のための修繕 | グレードアップのための設備交換、ハウスクリーニング(特約がない場合) |
これらの費用は賃料に含まれていると考えられており、借主が別途負担する必要はありません。
経年劣化による負担割合の減少
重要なポイントとして、入居期間が長いほど、借主の負担割合は減少します。
これは「減価償却」という考え方で、建物や設備には法定耐用年数が定められており、時間の経過とともに価値が減少するためです。
主な設備の耐用年数:
- クロス(壁紙):6年
- カーペット:6年
- フローリング:建物の耐用年数に準じる
- 畳表:5年
- 設備(給湯器等):6~15年
例えば、6年以上住んだ部屋のクロスを汚してしまった場合、クロスの価値は既にゼロなので、理論上は借主の負担はゼロになります(ただし実務では一定の負担を求められることもあります)。
契約書と特約の確認ポイント
契約書で必ず確認すべき項目
退去前に、必ず賃貸借契約書を再確認しましょう。確認すべき主なポイントは以下の通りです。
📋 チェック項目:
- 敷金の金額と返還条件
- 原状回復の範囲(どこまで借主負担か)
- 特約事項の有無と内容
- 敷金返還の時期(いつまでに返還されるか)
- ハウスクリーニング費用の負担者
特に特約事項は重要です。特約とは、通常の契約条件とは異なる特別な約束事で、ここに「退去時のハウスクリーニング費用は借主負担」などと記載されている場合、国土交通省のガイドラインよりも契約書の特約が優先されることがあります。
ハウスクリーニング特約の有効性
ハウスクリーニング特約がある場合でも、すべての特約が有効とは限りません。
✅ 有効とされる特約の条件:
- 具体的な金額が契約書に明示されている
- 契約時に説明を受けており、借主が内容を理解している
- 金額が相場の範囲内である(ワンルームで2~4万円程度)
❌ 無効とされる可能性がある特約:
- 金額の記載がない、または「実費」とだけ書かれている
- 契約時に十分な説明がなかった
- 金額が相場に比べて高額すぎる
- 通常損耗の修繕費用まで含めて借主負担とする内容
東京地方裁判所の判例では、具体的な金額(2万5000円)が明示され、契約時に説明があった場合にクリーニング特約を有効と判断しています。
敷金償却(敷引)特約の有効性
主に関西地方で見られる「敷引特約」も、有効性が問われることがあります。
敷引特約とは、「敷金○ヶ月分のうち、△ヶ月分は償却し、残りを返還する」という内容の特約です。例えば「敷金3ヶ月分のうち1ヶ月分は償却」という場合、退去時に1ヶ月分の家賃相当額は無条件で返還されません。
有効性の判断基準(最高裁判例): 最高裁判所は平成23年の判決で、以下の基準を示しています。
- 敷引金の額が月額賃料の3.5倍程度までであれば、基本的に有効
- ただし、礼金など他の一時金との兼ね合いも考慮される
- 賃料が相場より大幅に安いなどの特段の事情がない限り、それを超える額は無効となる可能性がある
具体例:
- 月額賃料10万円、敷引30万円(賃料の3ヶ月分)→ 有効の可能性が高い
- 月額賃料10万円、敷引50万円(賃料の5ヶ月分)→ 無効の可能性がある
特約が無効になる条件
特約が無効と判断されるケースは、主に消費者契約法10条に違反する場合です。
消費者契約法10条では、「消費者の利益を一方的に害する条項」は無効とされています。具体的には以下のような特約です。
無効となる可能性が高い特約:
- 通常損耗や経年劣化まで借主負担とする内容で、具体的な説明がない
- 借主の負担が不当に大きい(金額が高額すぎる)
- 契約時に十分な説明がなく、借主が内容を理解していない
- 国土交通省のガイドラインに大きく反する内容
特約があっても、これらの条件に該当する場合は無効を主張できる可能性があります。
敷金が返ってこない場合の対処法
【STEP1】まずは契約書と精算書を確認する
敷金が返ってこない場合、まず冷静に以下の書類を確認しましょう。
📄 確認すべき書類:
- 賃貸借契約書(特約事項を重点的に)
- 敷金精算書(退去後に送られてくる明細書)
- 入居時のチェックリスト(入居時の部屋の状態を記録したもの)
- 入居時・退去時に撮影した写真
精算書には、敷金からどのような費用がいくら差し引かれたのかが記載されています。各項目が妥当かどうかを、国土交通省のガイドラインと照らし合わせて確認してください。
特に以下の点をチェック:
- 経年劣化や通常損耗の費用が含まれていないか
- 入居時からあった傷の修繕費が請求されていないか
- 金額が相場より高額すぎないか
- 特約にない費用が請求されていないか
【STEP2】管理会社・大家に説明を求める
精算書の内容に納得できない場合は、まず管理会社や大家に連絡して説明を求めましょう。
📞 連絡時のポイント:
- 感情的にならず、冷静に事実確認をする
- 具体的な項目について「なぜこの費用が必要なのか」を質問する
- 国土交通省のガイドラインを参考に、根拠を求める
- 証拠(入居時の写真など)があれば提示する
- やり取りは記録に残す(メールや書面で)
この段階で誤解が解けて、敷金が返還されるケースも少なくありません。管理会社の担当者が単純にガイドラインを理解していないだけということもあります。
【STEP3】消費生活センターに相談する
管理会社との交渉で解決しない場合は、**消費者ホットライン「188(いやや)」**に電話しましょう。
消費生活センターでは、専門の相談員が無料でアドバイスをしてくれます。
相談できる内容:
- 精算書の内容が妥当かどうか
- どのように交渉すべきか
- 次にどのような対応を取るべきか
- 必要に応じて、弁護士などの専門家の紹介
相談時には、契約書、精算書、写真などの資料を手元に用意しておくとスムーズです。
【STEP4】内容証明郵便で返還請求する
消費生活センターの助言を受けて、それでも解決しない場合は、内容証明郵便で敷金返還請求書を送付します。
内容証明郵便とは、「いつ、誰が、誰に、どのような内容の文書を送ったか」を郵便局が証明してくれるもので、法的な証拠として残ります。
記載すべき内容:
- 契約内容(物件の住所、契約期間など)
- 敷金の金額と返還されるべき金額
- 精算書のどの項目が不当と考えるか、その根拠
- 国土交通省のガイドラインに基づく主張
- 返還を求める期限(通常は1~2週間後)
- 応じない場合は法的措置を検討する旨
内容証明を送ることで、貸主側に「本気で返還を求めている」という意思が伝わり、交渉に応じてくれることがあります。
【STEP5】ADR(裁判外紛争解決手続)を利用する
それでも解決しない場合は、**ADR(裁判外紛争解決手続)**を利用する方法があります。
ADRとは、裁判を起こさずに、中立的な第三者(調停人)が間に入って和解を目指す制度です。
主なADR機関:
ADRのメリット:
- 裁判より費用が安い(申込手数料3,600円程度)
- 早期解決が期待できる(最短2週間程度)
- 調停人が専門知識を持っている
- 話し合いで解決を目指すため、関係悪化を最小限にできる
ADRの申込みをした時点で、貸主側が譲歩して和解に応じるケースも多いと報告されています。
【STEP6】少額訴訟を起こす
最終手段として、少額訴訟を起こす方法があります。
少額訴訟とは、60万円以下の金銭請求について、簡易裁判所で迅速に審理する制度です。
少額訴訟の特徴:
- 原則1回の審理で判決が出る
- 費用が安い(請求額60万円で手数料6,000円)
- 自分で訴状を作成して提出できる
- 訴状のひな型は簡易裁判所でもらえる
手続きの流れ:
- 訴状を作成(簡易裁判所で相談可能)
- 管轄の簡易裁判所に提出
- 1~2ヶ月後に審理が開かれる
- 原則その日に判決
国土交通省のデータによると、少額訴訟のうち約10%が敷金返還請求事件であり、多くの人が実際にこの制度を利用して敷金を取り戻しています。
敷金返還トラブルの相談先一覧
消費生活センター(消費者ホットライン188)
最も気軽に相談できる窓口です。局番なしの「188(いやや)」に電話すれば、最寄りの消費生活センターにつながります。
相談できる内容:
- 敷金返還トラブル全般
- 契約内容の妥当性
- 管理会社との交渉方法
- 次に取るべき対応
費用: 無料
国民生活センター
国民生活センターでは、全国から寄せられた相談事例を蓄積しており、専門的なアドバイスが受けられます。
消費者ホットラインが混雑している場合は、「平日バックアップ相談」も利用できます。
費用: 無料
法テラス(日本司法支援センター)
法テラスは、国が設立した法的トラブル解決のための総合案内所です。
提供されるサービス:
- 法律問題の相談窓口の案内
- 経済的に余裕がない方への無料法律相談
- 弁護士・司法書士費用の立替え
費用: 相談は無料(一定の収入基準あり)
弁護士会の法律相談センター
日本弁護士連合会の各地の法律相談センターでは、弁護士による法律相談が受けられます。
初回相談が無料の場合もあるので、事前に確認してください。
費用: 初回無料~5,000円程度(地域により異なる)
行政書士会ADRセンター
行政書士会のADRセンターでは、調停手続きを通じて敷金返還トラブルの解決を目指します。
費用: 申込手数料3,600円、期日1回につき3,600円程度
不動産適正取引推進機構
一般財団法人不動産適正取引推進機構は、不動産取引専門の相談窓口です。
行政や消費生活センターの要望に応じて、専門家による調整や仲裁も行っています。
費用: 相談は無料
都道府県の宅建協会
全国宅地建物取引業協会連合会の各都道府県支部では、不動産取引に関する相談を受け付けています。
宅建業者を相手方とする苦情の解決業務も行っています。
費用: 無料
敷金を返してもらうための事前対策
入居時にすべきこと
退去時のトラブルを防ぐには、入居時の対応が非常に重要です。
📸 入居時チェックリスト:
- 部屋全体を写真撮影(日付を入れる)
- 既存の傷や汚れをすべて確認
- チェックリストに記入して管理会社に提出
- 設備の動作確認(給湯器、エアコン、換気扇など)
- 可能であれば動画も撮影
入居時の写真は、退去時に「この傷は入居前からあった」と証明できる重要な証拠になります。スマホで撮影する場合は、日付が自動で入る設定にしておきましょう。
居住中に気をつけること
日常生活での注意点も重要です。
🏠 日頃の心がけ:
- こまめな清掃とメンテナンス(特にキッチン、浴室)
- 故意・過失による損傷を避ける
- 設備は丁寧に使用する
- 結露はすぐに拭き取る
- 換気を心がける
特にカビ対策は重要です。結露を放置してカビが発生した場合、「善管注意義務違反」として借主負担になる可能性があります。
退去時にすべきこと
退去時の対応も、敷金返還額を左右します。
🧹 退去時チェックリスト:
- 徹底的な掃除(キッチン、浴室、トイレ、床、窓など)
- ゴミは完全に撤去
- 部屋を空にした状態で写真撮影
- 立会い時に納得できない項目は安易にサインしない
- その場で合意できない場合は持ち帰って検討する
引越し掃除の必需品と効率的な掃除方法については別記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
退去時の立会いで提示された精算書にその場でサインする必要はありません。「検討して後日連絡します」と伝えて、一度持ち帰って内容を確認することをおすすめします。
【ケース別】敷金が返ってこない状況と対処法
クリーニング代で敷金が全額なくなった
状況: 敷金10万円を預けていたが、ハウスクリーニング代として全額差し引かれた。
確認ポイント:
- 契約書にハウスクリーニング特約があるか
- 特約がある場合、具体的な金額が明示されているか
- 金額が相場の範囲内か(ワンルームで2~4万円程度)
対処法: 特約がない、または金額が明示されていない場合は、無効を主張できる可能性があります。消費生活センターに相談し、管理会社に説明を求めましょう。
長期居住なのに全額償却された
状況: 10年住んだ部屋を退去したが、クロス張替え費用として敷金が全額差し引かれた。
確認ポイント:
- クロスの耐用年数は6年
- 10年住んでいればクロスの価値はゼロ
- 借主が負担するのは、故意・過失による損傷部分のみ
対処法: 経年劣化による減価償却を主張し、負担割合の再計算を求めます。国土交通省のガイドラインを示して交渉しましょう。
契約書に記載のない費用を請求された
状況: 契約書に記載のない「消毒費用」「鍵交換費用」などを請求された。
確認ポイント:
- 契約書や特約に記載があるか
- 契約時に説明を受けたか
対処法: 契約書に記載がなく、説明も受けていない費用は支払う必要がありません。管理会社に契約書の該当箇所を示すよう求め、記載がなければ支払いを拒否できます。
退去後3ヶ月経っても敷金が返ってこない
状況: 退去から3ヶ月経つが、敷金も精算書も届かない。
確認ポイント:
- 契約書に返還時期の記載があるか
- 管理会社に連絡したか
対処法: まず管理会社に連絡して状況を確認します。返還が遅れている場合、遅延損害金を請求できる可能性もあります。連絡しても対応がない場合は、内容証明郵便で返還請求をしましょう。
事業者向け|敷金が返ってこない場合の会計処理
事業用の賃貸物件で敷金が返還されなかった場合の会計処理について簡単に解説します。
敷金返還時の仕訳
全額返還された場合:
(借方)現金預金 200,000 / (貸方)差入保証金 200,000
一部返還された場合(敷金20万円、返還10万円):
(借方)現金預金 100,000 / (貸方)差入保証金 200,000
(借方)修繕費 100,000
全額償却された場合(敷金20万円、返還なし):
(借方)修繕費 200,000 / (貸方)差入保証金 200,000
原状回復費用の科目
原状回復費用は、通常**「修繕費」**として処理します。ただし、設備を著しく改良したような場合は「資本的支出」として資産計上することもあります。
注意点
消費税の取り扱い: 原状回復費用は課税取引です。敷金の返還自体は非課税ですが、原状回復費用として支払った部分については消費税がかかります。
契約書の保管: 敷金の返還を巡ってトラブルになった場合に備え、賃貸借契約書、精算書、領収書などは必ず保管しておきましょう。
よくある質問
- 敷金が返ってこないのは普通ですか?
-
統計データによると、約7割の人は何らかの返還を受けていますが、全額返還は12%程度です。ただし「返ってこないのが普通」ではなく、適切に使用していれば原則として返還されるべきものです。
- ハウスクリーニング特約があれば必ず払わないといけませんか?
-
契約書に具体的な金額が明示され、契約時に説明を受けており、金額が妥当であれば有効です。ただし、これらの条件を満たさない特約は無効となる可能性があります。
- 敷金が返ってこない場合、どこに相談すればいいですか?
-
まずは消費者ホットライン(188)に電話して、最寄りの消費生活センターで相談するのが最も手軽です。無料で専門家のアドバイスが受けられます。
- 退去後どのくらいで敷金は返ってきますか?
-
一般的には退去後1~2ヶ月以内に返還されることが多いです。契約書に明記されている場合はその期限に従います。
- 少額訴訟は自分でできますか?
-
可能です。簡易裁判所には訴状のひな型があり、窓口で書き方も教えてもらえます。60万円以下の請求であれば少額訴訟が利用でき、費用も比較的安価(請求額60万円で手数料6,000円)です。
- 敷金返還の請求権に時効はありますか?
-
原則として5年で時効となります。退去してから5年以内であれば請求可能です。
- 入居時からあった傷まで請求されています。どうすればいいですか?
-
入居時に撮影した写真やチェックリストが証拠になります。証拠がない場合でも、経年劣化による傷である可能性を主張できます。
- 敷金なし物件で退去時に高額請求されました。払う必要がありますか?
-
敷金の有無にかかわらず、原状回復義務は同じです。ただし、請求内容が妥当かどうかは国土交通省ガイドラインに基づいて判断されます。不当な請求であれば支払う必要はありません。
まとめ
敷金が返ってこない主な理由は、原状回復費用の負担区分や契約書の特約内容が正しく理解されていないことです。国土交通省のガイドラインでは、経年劣化や通常使用による損耗は貸主負担と明確に定められており、借主が負担するのは故意・過失による損傷のみです。
もし不当な請求を受けた場合は、まず契約書と精算書を確認し、管理会社と交渉しましょう。それでも解決しない場合は、消費生活センター(188)への相談、内容証明郵便での請求、ADRや少額訴訟といった段階的な対処法があります。
敷金は預かり金であり、適切に使用していれば返還されるべきお金です。泣き寝入りせず、正当な権利を主張することが大切です。また、退去時のトラブルを防ぐためには、入居時の写真撮影や日頃の清掃など、事前の対策も重要になります。
賃貸契約を結ぶ際は、一人暮らしの初期費用について事前に理解しておくことで、敷金を含む契約内容をより適切に判断できるでしょう。

